『生物学の哲学入門』『精神医学の科学哲学』

どちらも図書館で借りて延滞せずに読めそうなトピックと厚さだと思ったので、ささっと読んでしまった(本業がそろそろ大詰めを迎えようとしているので少し急いでしまった)。

前者の感想:今まで一人で考えていたことがほぼ全部すでに言われていて安心した。生物学的に一番勉強になったのは発生学の章だけど、哲学的に面白いのはやっぱり種の定義の章だった。

後者の感想:個人的には穏当で当たり前の結論に思えるが、科学哲学的に丁寧に論じられつつ臨床の話と乖離しすぎていることがないので良かった。一番共感したのは p. 166 の〈誤解1:精神医学の研究は二元論が誤りであると示してきた〉で、私は割と過激な生物学的精神医学の信奉者だと自認している(たとえば神経科学が充分に進歩すれば精神疾患は全て解体されると信じている)ものの、これはクーパーと同様に明らかな見当違いだと確信している。たとえば脳科学をやっている人々でそう思い込んでいる人が多いように見受けられるが、そう簡単な話ではないだろう(ただしそれと同時にその営み自体は実りあるものにはなるだろう)とは思う。

これで精神医学の哲学に関する本で積読しているのが石原『精神障害を哲学する』だけになったが、あれは綿密な記述がなされているもののエンタメ性は薄いのでまた気が向いたときに読むことにする。