空論上の砂、楼閣上の机。

The Castle of Indolence

近代オリンピアードを{記念する/祝い}

昨日、日本語同好会で話題になっていた記事がこちらです。

dot.asahi.com

仏語版の宣言文を見てみよう。

«Je proclame ouverts les Jeux de... (nom de l’hôte) célébrant la... (numéro de l’Olympiade) Olympiade des temps modernes.»

多賀教授は、「私」が主語で、「オリンピアードを祝っている」のならば、「gérondif」を使って「en célébrant」としなければならない、と分析する。しかし、上記のように仏語版では前置詞の「en」 が無く、ただの「célébrant」になっている。

ここは正しい記述です。

規範文法の常套的記述によると、現在分詞は形容詞的に直近の名詞にかかり、ジェロンディフは副詞的に主節の動詞(あるいは主節全体)にかかるとされる。したがって、現在分詞の意味上の主語は直近の名詞であるのに対して、ジェロンディフの意味上の主語は主節の主語と同一指示であるとされる。たとえば、つぎのような例文がよく引かれる。

(3) J’ai rencontré Paul en revenant du cinéma. (佐藤 et alii 1991, p.335)
映画館から戻ってくるとき、ポールに出会った。
(4) J’ai rencontré Paul revenant du cinéma. (ibidem, pp.335-336)
映画館から戻ってくるポールに出会った。

「コンマが直前のカッコのせいで消えたのかもしれない」とか「国家元首に全ての権威を持たせているのかもしれない」とか色々な可能性を考えてみましたが、やっぱり一番自然なのはこれだと思います。なぜ迷ったかというのは、1984年に開催されたロス五輪でのレーガン大統領(当時)の挨拶を聞いてみると了解していただけるはずです。

youtu.be

Celebrating the 23rd Olympiad of the modern era, I declare open the Olympic Games of Los Angeles.

これはどうやっても I が celebrate の意味上の主語であると解するしかありませんし、レーガン氏もまさに自らが祝っているのだという意識を持って発言したに違いないでしょう。

JOCのスタッフに、英語に専門的に習熟した人が居ないのでしょう。この和訳は、高校レベルの英文法ですし、英検2級の合格者でも理解できる人はいると思います。

ここは少し言い過ぎているきらいがあります。だってレーガンも間違えてるんだもん。