空論上の砂、楼閣上の机。

The Castle of Indolence

読書録:『自分を傷つけずにはいられない』

図書館でふと手に取った本でしたが、またまた名著を引き当ててしまいました。

刃物で自分の身体を傷つけるという方法による自傷(「切る」タイプの自傷)だけを取り上げてみても、10代の若者のおよそ1割は少なくとも1回はやった経験があることがわかっています(Mastumoto & Imamura, Psychiatry and Clinical Neurosciences, 2008)。この数はアメリカでもヨーロッパでも大体同じで、地域や学校による違いも、親の職業や経済的状況による違いもありません。しかも、その1割の経験者のうちの、およそ6割は、10回以上、刃物で自分の身体を切ったことがあるというのです(山口・松本『精神医学』2005)。

10代からすると正直この感覚はめちゃめちゃ分かります。

ところで自傷行為と内因性オピオイドに密接な関係があることを初めて知ったので検索してみたら、著者の論文がヒットしました。Coid et al. (2013) だそうです。

doi.org

さらに読み進めていくと名文が!

自傷する人のなかには、恋人から優しくされると、「裏があるのではないか」とか、「いつか自分を裏切るのではないか」と不安になるという人が、一定の割合でいます。おそらく極端に自分に自信がなく、また、人から優しくされることに慣れていないせいもあるでしょう。それで、「本当に自分を大切に思っているのか」、「どこまで自分を受け入れ、許してくれるのか」を確認しようと、わざとわがままをいったり、相手の嫌がることをしたりするのです。あるいは、「どうせこいつも私を捨てるのだ」という思い込みがあり、「フラれるくらいならば、こっちからフル方がまし」といわんばかりに、唐突に自分から別れ話を切り出す人がいます。もちろん、それは彼らの本意ではありません。本当の気持ちはまったく正反対なのです。このようなひねくれた方法は往々にして裏目に出て、結果的に、大切な人を失ってしまうことがあります。

他にも「こんな精神科医は避けましょう」という節があったので要約して引用します。

  • 自傷したことを叱責する
  • 頑固で思い込みが激しい
  • 依存性の強い薬をためらいなく処方する
  • 診察中ずっとパソコンの画面とにらめっこしていて、あなたの顔を一瞥もしない
  • 有名、あるいは、本を書いている

「こんな精神科医は『買い』です」という節も。

  • あなたの言い分を聞いてくれる
  • 臨床心理士や精神保健福祉士、地域の同業者や保健所の保健師、学会や研究会などの仲間が多い
  • 医者歴7年から25年くらいのあいだ、つまり、30代半ばから50歳くらいまでの年代
  • 外来日一日で診察する患者さんの数が30〜40人くらい

ちなみに超正しいと思います。特に「買い」の2番目と4番目です。