空論上の砂、楼閣上の机。

The Castle of Indolence

Cavalieri の原理(トントン)で積分論を使わずに直交する円柱の共通部分の体積を求める

定理1. (Cavalieri の原理) $A$, $B$ を平面・空間上の図形、$l$ を直線とする。$l$ に垂直な直線・平面が $A$, $B$ によって切り取られる長さ・面積の比が常に $a\colon b$ ならば、$A$, $B$ の面積・体積比は $a\colon b$ である。

Cavalieri の原理を適用することを一般に等積変形といい、平面上の場合はとくに「トントン」という、すど (@ysmemoirs) 氏による俗称がある。トントンは曰く『平方完成(頂点位置制御)・接線・面積・解の位置制御を全部カバーする考え』であり、その基礎的な手法は次の二ツイートで解説されている。

また、次のような面積が不変な変換(筆者は平面幾何的な直観に乏しいので変換行列の行列式が $1$ であることから不変性を理解したが)によって最大最小問題を簡潔な場合に帰着することをトントンと解釈することもできる。

さらに Cavalieri の原理は積分論を使わずに様々な立体の体積を求めることができるので「球や錐体の体積は積分を勉強しないと求められないから覚えましょう」は通用しないのである。

命題2. (柱体) 底面積 $S$、高さ $h$ の柱体の体積は $Sh$ である。

直方体に帰着させればよい。

命題3. (錐体) 底面積 $S$、高さ $h$ の錐体の体積は $\dfrac{Sh}{3}$ である。

正方形を底面とする正四角錐は $6$ つ集めると立方体になるので体積が求まるので、そこに帰着させればよい。

命題4. (球) 半径 $r$ の球の体積は $\dfrac{4}{3}\pi r^3$ である。

半径 $r$ の円を底面とする高さ $r$ の円柱から半径 $r$ の円錐をくり抜いた立体は、半球 $r$ の半球と切り口の面積が等しいので、命題3を用いて $2\left(\pi r ^ 3-\dfrac{1}{3}\pi r ^ 3\right)$ となる。

命題5. (直交する円柱) $x$ 軸を中心とする半径 $r$ の円柱と $y$ 軸を中心とする半径 $r$ の円柱の共通部分の体積は $\dfrac{16}{3}r^3$ である。
解答. それぞれの円柱は $y^2+z^2\leq r^2$, $x^2+z^2\leq r^2$ で表され、$z=t$ での切り口は $-\sqrt{r^2-t^2}\leq y\leq \sqrt{r^2-t^2}$, $-\sqrt{r^2-t^2}\leq x\leq \sqrt{r^2-t^2}$ という正方形であり、断面積は $4(r^2-t^2)$ である。これは半径 $r$ の球を中心からの距離が $t$ の平面で切った断面の面積 $\pi(r^2-t^2)$ の $\dfrac{4}{\pi}$ 倍なので Cavalieri の原理より求める体積は $$\frac{4}{3}\pi r^3\cdot \frac{4}{\pi}=\frac{16}{3}r^3$$である。

ちなみにいわゆる Pappus–Guldinus の定理「回転体の体積=断面積×重心の軌跡の長さ」は Cavalieri の原理をイメージするとより実感が湧くはずである。問題5は積分計算に持ち込んでミスするよりも形を見て結論がわかると楽である(答案に書く際にはどちらの方が楽かは状況によるが)。