空論上の砂、楼閣上の机。

The Castle of Indolence

曲線束について

以下において 共有点をもつならば・交わる という条件は非常に本質的であって問題を解く際は必ず確認する必要があることに十分注意せよ.

定義. (曲線束) $2$ 曲線 $C_1 \colon f(x,y)=0$, $C_2 \colon g(x,y)=0$ が共有点を持つならば, $C_1$, $C_2$ の共有点上で定義される関数 $P(x,y)$, $Q(x,y)$ に対し, 曲線束とは $P(x,y)f(x,y) + Q(x,y)g(x,y) = 0$ であり, これは $C_1$ と $C_2$ の共有点をすべて通る曲線を表す方程式となる.
証明. 点 $(a,b)$ が共有点なら $f(a,b)=g(a,b)=0$ だから $P(a,b)f(a,b) + Q(a,b)g(a,b) = 0$ なので, 点 $(a,b)$ は曲線束上にある. $\blacksquare$

ここで曲線束はすべての共有点を通る曲線の方程式であることは正しいことは示されたが, 一般にすべての共有点を通る曲線の方程式はすべて曲線束として表せるわけではない.

交わる $2$ 直線の場合

$P(x,y)$, $Q(x,y)$ をそれぞれ $p$, $q$ (ただし $(p,q) \neq (0,0)$) をとる定数関数とする. このとき $f(x,y)$ と $g(x,y)$ の交点を通る直線をすべて表すことができる. なお, 組 $(p,q)$ は無限に存在する.

証明. $f(x,y)$ と $g(x,y)$ の交点を通る任意の直線 $l$ 上の (交点以外の) 点 $(a,b)$ を任意にとると, $f(a,b) \neq 0$ または $g(a,b) \neq 0$ である. $(p,q)=(-g(a,b), f(a,b)) \neq (0,0)$ とすれば $pf(x,y) + qg(x,y) = 0$ は点 $(a,b)$ を通る直線を表す. 点 $(a,b)$ は任意だったので交点を通るすべての直線はこの形で表せる. $\blacksquare$

$P(x,y)$, $Q(x,y)$ をそれぞれ $1$, $k$ をとる定数関数とする. これが世間一般で言われる束 $f(x,y)+kg(x,y)=0$ であるが, $k$ をどうとってもこの方程式は $g(x,y)=0$ を表すことができない. 一方で $g(x,y)=0$ 以外はすべて表せる.

証明. 先の証明で $k=\dfrac{q}{p}$ とすればよい. $\blacksquare$

$2$ 点で交わる円と直線の場合

曲線束は $2$ 交点を通る直線と円をすべて表せる. (ただし $(1,k)$ としている場合は直線は表せない)

$2$ 点で交わる $2$ 円の場合

曲線束は $2$ 交点を通る直線と円をすべて表せる. (ただし $(1,k)$ としている場合は一方の円は表せない)

例題. $C_1\colon x^2+y^2=1$, $C_2\colon x^2+y^2-4x+2ay+a^2=0$ の $2$ 交点を通る直線が点 $(1,-4)$ を通るとき, $a$ の値を求めよ.

ここでいきなり束を考えてはいけない. まず $C_1$ と $C_2$ が $2$ 点で交わるような条件を考える必要がある.

解答. 原点を中心とする半径 $1$ の円 $C_1$ と $(2,-a)$ を中心とする半径 $2$ の円 $C_2$ が $2$ 点で交わることは, $2-1<\sqrt{a^2+4}<2+1$ すなわち $-\sqrt{5} < a < \sqrt{5}$ と同値である. この条件のもとで, 方程式
$$x^2+y^2-1+k(x^2+y^2-4x+2ay+a^2)=0$$
は $C_1$, $C_2$ の $2$ 交点を通る図形を表す式であり, これが直線を表すための必要十分条件は $x^2$, $y^2$ の項が消えるすなわち $k=-1$ である. 代入すると
$$4x-2ay-a^2=0$$
となり, これが点 $(1,-4)$ を通過するということはすなわち $4+8a-a^2=0\iff a=4\pm2\sqrt{5}$ であり, この中で $C_1$ と $C_2$ が $2$ 点で交わる条件 $-\sqrt{5} < a < \sqrt{5}$ を満たすものは $a=4-2\sqrt{5}$ である.
京大後期1998第3問 $A_1$, $A_2$, $A_3$ は $xy$ 平面上の点で同一直線上にはないとする. $3$ つの $1$ 次式 $f_1(x,y)=a_1x+b_1y+c_1$, $f_2(x,y)=a_2x+b_2y+c_2$, $f_3(x,y)=a_3x+b_3y+c_3$ は, 方程式 $f_1(x,y)=0$, $f_2(x,y)=0$, $f_3(x,y)=0$ によりそれぞれ直線 $A_2A_3$, $A_3A_1$, $A_1A_2$ を表すとする. このとき実数 $u$, $v$ をうまくとると方程式 $uf_1(x,y)f_2(x,y)+vf_2(x,y)f_3(x,y)+f_3(x,y)f_1(x,y)=0$ が $3$ 点 $A_1$, $A_2$, $A_3$ を通る円を表すようにできることを示せ.

$xy$ の係数が $0$ であり, $x ^ 2$ と $y ^ 2$ の係数が $0$ 以外の値で一致するよう定めればよく, 計算すると

$$(u,v)=\left(\dfrac{(a _ 3 ^ 2+b _ 3 ^ 2)(a _ 1 b _ 2 - a _ 2 b _ 1 ) }{ ( a _ 2 ^ 2 + b _ 2 ^ 2 )(a_3b_1-a_1b_3)}, \dfrac{(a _ 1 ^ 2 + b _ 1 ^ 2 ) ( a _ 2 b _ 3-a _ 3 b _ 2 ) }{ ( a _ 2 ^ 2 + b _ 2 ^ 2 ) ( a _ 3 b _ 1 - a _ 1 b _ 3 ) }\right)$$
となり, $x ^ 2$ と $y ^ 2$ の係数は $\dfrac{(a_2b_1-a_1b_2)(a_2b_3-a_3b_2)}{a _ 2 ^2 + b _ 2 ^ 2}$ で $0$ ではないのでよい.