空論上の砂、楼閣上の机。

The Castle of Indolence

【読書録】京大入試に学ぶ英語難構文の真髄

帰省中に暇になるときがあると困るだろうからと買いました。帰省は帰省でとても充実してはいましたが、一人で移動する時間や就寝する前の時間はやっぱり暇でしたから、ちょこちょこ読み進められました。

まず第一印象として、京大の問題を見たことがなかったので新鮮でした。が、当然「構文集」である以上、一続きの文章の中から段落をボコッと抜き出してきているので、文脈が分かりません。単独でも十分意味が完結しているものならまだしも、正直前後の文脈がないと意味がわからないものが散見されました。いくつかは筆者が注を与えていますが、それにつけても、これを過去問集として用いるのは(受験生にとっては)あまり得策ではないかもしれません? 受験生でしたら、まずは過去問を一通り解いた上で、この本を読んでみるのがいいのかもしれません。まあ過去問は実力試しのために “とっておく” ものではありませんから、どうでもいいとは思いますが。

次に英文を読んでいく中で、英文解釈教室は京大英語でさえオーバーワークという言葉の意味がよく分かりました。英文解釈教室もそこまで難解にすぎる文章を集めてきているわけではない以上、どの大学でも基礎レベルだろうと思っていましたが、少なくともこの本に載ってある問題を見る限りは、英文解釈教室もオーバーワークになるぐらいの簡単さだったように思えました。もちろん一部は歯ごたえのあるものもありましたが、構文把握という点では素直だったと思います。

ところが、

Executive women are just as ambitious as, if not more ambitious than, men.

を「破格」という項を設けてちゃんと解説していました。これにはもう脱帽してしまいました。ちなみに、アルクの英辞郎は

just as, if not more, important as 《be ~》~と同等かそれ以上の重要性を持つ、〔主語の〕重要性は~に勝るとも劣らない

という項目を設けていますが、多分これは誤訳です。ただし、語尾がasになっているのは本質的な差異ではありません。それは expressions - What’s the difference between ‘as much, if not more, than’ and ‘as much, if not more, as’? - English Language & Usage Stack Exchange が参考になると思います。

そう、この本の強みは「辞書や参考書にはあまり載っていないけど、実は出題されている言い回し」をキチッと取り扱っているところなのです。たとえば

  • apparentlyは「明らかに」ではない
  • supposedlyは「想像上の」と覚えない方がいい
  • cannot help do ingは「〜せざるを得ない」ではない

こういった点を京大の過去問を通して意識できるのは非常に強いメリットだと思いますし、実際見ていて「えこれを受験生に問うの?」と思うようなことも(ごく稀だが)ありました。何の役に立つのかよく分からないものはやっぱりモチベーションが湧かない......この本の中にもそんな内容の文があったような気がしますが、その点、モチベ向上のためとしては、本書はその試練を通り抜けていると思います。

今後暇があったら京大の英語も埋めようと思いますが、本書は結構「後期」の問題を扱っているので、実は市販の過去問を著しく網羅されている......というわけではないだろうと予測しています。「過去問を取っておく勢」にも、その点で嬉しいかもしれません。