空論上の砂、楼閣上の机。

The Castle of Indolence

物理

Straight Outta Compton 散乱

「Straight Outta Compton 散乱」って誰か絶対考えついてそう……と思ったらやっぱり既出でした。しかも Nature 誌の記事! www.nature.com

相対論と剛体

相対論では剛体が存在しないことがあまり有名ではなかったようなのですが、実はランダウのバコテン(場の古典論)の第3章§15にちゃんと記載があります。 古典力学では, 剛体, すなわち, いかなる条件のもとでも変形することのない物体という概念を導入するこ…

『新・物理入門』の密かな改訂

山本義隆『新・物理入門』は実は密かに改訂を行なっていたことをご存知でしょうか? このことは去年の夏に初めて気付いて仲間内で面白がって終わりだったのですが、どうやら誰も気付いていないようなのでトリビアとしてまとめておきます。 もしこの本をお持…

等加速度運動の公式とは何だったのか?

後輩が混乱していたので整理するために記事にしてまとめておきました。教育的になるよう丁寧に論じましたが、ある程度分かっている方は証明の部分だけ読んでいただいて構いません。 古典力学では, 粒子の位置を $\bm{r}(t)=(x(t),y(t),z(t))\in\R ^ 3$ とい…

平衡点のアナロジー

問題. (2005年 千葉医 5-3) 寿命が非常に長いほ乳類1種の個体群について, 1個体が1年間に産む子供の個体数(産子数)$B/N_t$ と, 1個体が1年間あたりに死亡する確率(死亡率)$D/N_t$ について, 個体数 $N_t$ との関係を調べたところ図2のような結果を得た. …

赤本の東工大物理2002年第2問の解答について

1ヶ月半前にちょっと不適切なことを教えてしまったので自戒としてメモしておきます. 問題. (東工大物理2002年第2問 一部略) 図のように液体の入った円筒状の容器の中に, 熱をよく通すシリンダーがさかさまに浮いている. 容器とシリンダーにはそれぞれ, 気密…

三体問題におけるラグランジュ点

数年前に「古典力学が古典になったことは一度もない」という講演のスライドが話題になっていたことをタイトルのインパクトからふと思い出したのですが, 久しぶりに眺めていたらなんと三体問題が大学入試として出題されているらしいことが判明したので早速覗…

コンデンサーへの導体板の挿入

はじめに 電磁気学を教えていたときにボヤいた記事をふと思い出しました. www.all-for-nothing.com ここで「合成容量」について色々と書きましたが, 実際に練習問題として解いてもらったものを紹介してみます. 面積 $L ^ 2$ の正方形の極板でできた, 電気容…

右下がり直線型サイクルの熱効率

問題. (2000年 東工大物理 第2問) 滑らかに動くピストンのついた円筒容器に単原子分子理想気体を入れ, 図に示す通り, 圧力 $p$ と体積 $V$ を A の状態から B, C の状態を経て再び A の状態にもどるように変化させた. ただし, すべての区間は直線に沿っての…

コンデンサーについての所感

最近, 家庭教師の準備でコンデンサーなど物理を頑張っていたのですが, 色々と思うところがあったので適宜メモしておきます. Gauss の法則 まず Gauss の法則を電気力線の本数に帰着させている参考書が多くて非常に困る. おそらく『新・物理入門』の孫引きな…

同心ソレノイドの相互インダクタンスの相反定理

本稿はまだ考察中のトピックを一旦整理するために書かれたメモ書きなので, 文体は全く整っておりません. 今後また何か進展があれば根本的な加筆修正を行います. 定理1. (相互インダクタンスの相反定理) 任意のコイル $C_i$ と $C_j$ に対して, その相互イン…

鏡像法(1980年 東大物理 第2問)

平板導体に電荷を近づけると, その付近の導体表面に反対符号の電荷が誘導されて, 導体と電荷の間に静電気力が働く. この力 $\overrightarrow{F}$ を求めるため, 以下の設問の順にしたがって調べてみよう. まず, 距離 $2a$ だけ離れた 2 点 Q, Q' にそれぞれ…

Peskin, Schroeder 2.1(a) について

2019年4月21日に湧源クラブの日曜サロンでの講演にむけ準備した原稿を最近発掘したので, 記事としてまとめ直して公開します. 説明が不十分な点が多く見受けられますが, 講演録としての史料性を鑑みて原文ママで打ち込むことにしました. あまり参考にしないで…

OB講義案: Doppler 効果

概要 本記事は, すでに中止となった令和二年度の数研合宿のために用意していたOB講義案をまとめたものです. 対象部員は中学三年生あたりを想定しております. Doppler 効果は基礎的で簡単な現象ではありますが, むしろそれゆえに多くの物理的示唆に富んでいる…

【統計力学入門】ゴム弾性や断熱変化を題材として

この記事は, 学校の三学期の物理のために頑張って書いたものの期末試験がなくなったので無になったシケプリを供養したものです. $\gdef\excep#1{\left\langle #1 \right\rangle} \phantom{\excep{a}}$ 注意. 高校生を対象に落とし込んだ内容である以上, 学問…

Fermat の原理の誤解:光は極大経路も通る!

Fermat の原理は「光は最短時間で到着する経路を通って伝播する」とよく述べられますが, 厳密にはこれは正しくありません. あくまでも考えている空間が光線で満たされており, どの光線も交差を持たないときにのみ成立する言明で, 正確には次のように言わなけ…

圧力と向き付け可能性

学校の熱力学の授業で、圧力は面と法線方向を決めて考えるという話を聞きながら、次のようなことを考えていました: もし我々がメビウスの輪に住んでいたら、法線方向を大域的に定めるのは無理である以上、“大域的な圧力” を仮に考えるときは必ず向き付け可…

物理講義 §1. Lagrange 形式

物理学を勉強したことはないものの, 数学の言葉には慣れている中高生を対象に書きます. 基本的には Nakahara (2003) に沿っていきます. 時間微分を上にドットをつけることで表します. たとえば粒子の位置 $\bm{r}$ の1階時間微分は速度 (velocity) であり $\…