空論上の砂、楼閣上の机。

The Castle of Indolence

数学

なぜ弧度法は well-defined なのか?

数IIの三角関数に入るといきなり「弧度法」という謎のシステムを理解しなければ三角関数の単元自体に全くついていけず数IIIの微積分では大惨事になるというのはよく知られたことである. しかし大抵の場合は「$180^{\circ}$を $\pi$ としなさい」という本当に…

曲線束について

定義. (曲線束) $2$ 曲線 $C_1 \colon f(x,y)=0$, $C_2 \colon g(x,y)=0$ が共有点を持つならば, $C_1$, $C_2$ の共有点上で定義される関数 $P(x,y)$, $Q(x,y)$ に対し, 曲線束とは $P(x,y)f(x,y) + Q(x,y)g(x,y) = 0$ であり, これは $C_1$ と $C_2$ の共有…

軸の直交する放物線が4点で交わるなら共円

直交する放物線の軸が $x$ 軸, $y$ 軸に平行になるように座標軸を設定すると, 放物線の方程式は $py=x ^ 2+ax+b$, $qx=y ^ 2+cy+d$ と表される. 共有点を $4$ つ持っているので, $Q = \dfrac{ (a-q) ^ 2}{4} + \dfrac{ (c-p) ^ 2}{4} - b - d $ とおくと, $$…

n! が平方数になることはあるのか?

命題. $n!$ が平方数となるための必要十分条件は $n=1$ である. 補題. (Bertrand の仮説) 任意の自然数 $n$ に対して, $n \lt p \leq 2n$ を満たす素数 $p$ が存在する. 命題の証明. $n \geq 2$ のとき $n!$ は素因数を少なくとも1つもつので, 最大の素因数 …

開成中算数 2015 を解き直してみた

この前ちょうど中学入試があって「そういえば当時の自分は算数で結構テンパったなぁ」と思い返したので、5年がけのリベンジをしてみました。 グダグダ書いてあるが、大事なのは $\langle (\cdot, \cdot) \rangle \colon \mathbf{Z} \times [0,1)_{\mathbf{Q}…

ベクトル裏ワザ集

高1のときに同級生向けに作ったプリントを発掘したので記念にブログに直しておきます. 表現は原文ママなので甘い目で見てください. あまり知らない人がやるとヤケドします. ご利用は計画的に. $\overrightarrow{a}=\left(\begin{array}{c}1\\3\\2\end{array}…

Galois 理論による対称式の基本定理の証明

対称式の基本定理を証明する方法として「単項式の指数の組に辞書式順序を入れて次数を下げていく」が有名だが, 実は Galois 理論を用いて見通しよく証明できる. このことは日本語のウェブサイトでは (探した限り) どこにも書かれていなかったので, K会「Galo…

ワイルの一様分布定理とベンフォードの法則

Mathematical Methods of Classical Mechanics, V. I. Arnold では Poincaré の回帰定理の箇所で次のような問題を載せている: Consider the first digits of the numbers $2 ^ n$: $1,2,4,8,1,3,6,1,2,5,1,2,4,\dots$. Does the digit $7$ appear in this s…

有向角を用いたミケルの定理の証明

ミケルの定理は点の位置による場合分けが非常に煩雑なので一般的には省略して証明されるが, 有向角を導入することで統一的に示すことができる. 発想自体は Euclidean Geometry in Mathematical Olympiads, Evan Chen の第1章に基づいているが, 定義が曖昧だ…

位相空間論による素数の無限性証明

素数が無限個存在することは良く知られているが、1955年に Hillel Furstenberg が学部生のときに提出した位相空間論を用いた証明は教育的でありながら興味深い. 何が興味深いかというと, まさにエラトステネスの篩をイメージしたような証明方法になっている…

群論としてのIMO2019第4問

スマホで見る際は長い数式を適宜スクロールしてください. $v_p(n)$: $n$ の $p$ 進付値 数学オリンピックなんてくだらない高等遊戯だと今までずっと思っていましたが、この問題の背景は「めちゃめちゃ面白いやん」となりました。 IMO2019 第4問 以下をみたす…

確率・統計 §2. 確率空間

注意 今回の参考文献は, 原啓介『測度・確率・ルベーグ積分』(講談社) K会「積分学」(河合塾) です. そろそろ高校範囲を超えた記号がガンガン出てくるようになります. 馴染みのある確率空間に入るまでのエグさもしんどさも激しいのですが, ここで躓くと確率…

確率・統計 §1. イントロダクション

注意 数学研究部で統計をやろうかどうか迷っているので講義録を書いてみようと思いました. ところがTeXファイルでひたすらガーッと書きまくって完成してしまうような若い時代はもう終わってしまいました. 完全に耄碌してしまいました. ですから, ブログにち…

ノルムの正定値性

ノルムを定義するときに、よく正定値性と斉次性と劣加法性を課しますが、正定値性ではなくて「ノルムが0 と ベクトルが0 が同値」にしてもOKだったことを最近知りました。多分一般的には常識なんでしょうけど、非常識なのでメモしておきます。ノルム空間 $(V…

東進数学特待で約100万円得した話

しばらくブログを書いていなかったのは, 随分前から在籍だけしていた東進の数学特待の期限が2月末で切れることに気づいたからです. せっかく無料なのにほとんど元を取れずに終わってしまうのも癪なので本気で消化しました. 一日何時間受けたかを判断できない…

中国剰余定理

3世紀から5世紀にかけて成立したと言われている中国の算術書『孫子算経』に ある物を3つずつ数えると2つ余り, 5つずつ数えると3余り, 7つずつ数えると2余るとき, 物の個数はいくらか. という問題があった. 解答は 3で割ると2余る数として140とおく. 5で割る…