空論上の砂、楼閣上の机。

The Castle of Indolence

数学

開成中算数 2015 を解き直してみた

この前ちょうど中学入試があって「そういえば当時の自分は算数で結構テンパったなぁ」と思い返したので、5年がけのリベンジをしてみました。 グダグダ書いてあるが、大事なのは $\langle (\cdot, \cdot) \rangle \colon \mathbf{Z} \times [0,1)_{\mathbf{Q}…

ベクトル裏ワザ集

高1のときに同級生向けに作ったプリントを発掘したので記念にブログに直しておきます. 表現は原文ママなので甘い目で見てください. あまり知らない人がやるとヤケドします. ご利用は計画的に. $\overrightarrow{a}=\left(\begin{array}{c}1\\3\\2\end{array}…

Galois 理論による対称式の基本定理の証明

対称式の基本定理を証明する方法として「単項式の指数の組に辞書式順序を入れて次数を下げていく」が有名だが, 実は Galois 理論を用いて見通しよく証明できる. このことは日本語のウェブサイトでは (探した限り) どこにも書かれていなかったので, K会「Galo…

ワイルの一様分布定理とベンフォードの法則

Mathematical Methods of Classical Mechanics, V. I. Arnold では Poincaré の回帰定理の箇所で次のような問題を載せている: Consider the first digits of the numbers $2 ^ n$: $1,2,4,8,1,3,6,1,2,5,1,2,4,\dots$. Does the digit $7$ appear in this s…

有向角を用いたミケルの定理の証明

ミケルの定理は点の位置による場合分けが非常に煩雑なので一般的には省略して証明されるが, 有向角を導入することで統一的に示すことができる. 発想自体は Euclidean Geometry in Mathematical Olympiads, Evan Chen の第1章に基づいているが, 定義が曖昧だ…

位相空間論による素数の無限性証明

素数が無限個存在することは良く知られているが、1955年に Hillel Furstenberg が学部生のときに提出した位相空間論を用いた証明は教育的でありながら興味深い. 何が興味深いかというと, まさにエラトステネスの篩をイメージしたような証明方法になっている…

群論としてのIMO2019第4問

スマホで見る際は長い数式を適宜スクロールしてください. $v_p(n)$: $n$ の $p$ 進付値 数学オリンピックなんてくだらない高等遊戯だと今までずっと思っていましたが、この問題の背景は「めちゃめちゃ面白いやん」となりました。 IMO2019 第4問 以下をみたす…

確率・統計 §2. 確率空間

注意 今回の参考文献は, 原啓介『測度・確率・ルベーグ積分』(講談社) K会「積分学」(河合塾) です. そろそろ高校範囲を超えた記号がガンガン出てくるようになります. 馴染みのある確率空間に入るまでのエグさもしんどさも激しいのですが, ここで躓くと確率…

確率・統計 §1. イントロダクション

注意 数学研究部で統計をやろうかどうか迷っているので講義録を書いてみようと思いました. ところがTeXファイルでひたすらガーッと書きまくって完成してしまうような若い時代はもう終わってしまいました. 完全に耄碌してしまいました. ですから, ブログにち…

対称式の小ネタ

有理数 $a,b,c$ に対し, $a+b+c, 2(ab+bc+ca), 3abc$ が整数であったならば, $a,b,c$ は整数となることを示せ. $(x-a)(x-b)(x-c)=0$ という方程式を考えてみたい. この解はいずれも $a,b,c$ だけであるので扱いやすいからだ. そこで次のように変形してみる. …

ノルムの正定値性

ノルムを定義するときに、よく正定値性と斉次性と劣加法性を課しますが、正定値性ではなくて「ノルムが0 と ベクトルが0 が同値」にしてもOKだったことを最近知りました。多分一般的には常識なんでしょうけど、非常識なのでメモしておきます。ノルム空間 $(V…

東進数学特待で約100万円得した話

しばらくブログを書いていなかったのは, 随分前から在籍だけしていた東進の数学特待の期限が2月末で切れることに気づいたからです. せっかく無料なのにほとんど元を取れずに終わってしまうのも癪なので本気で消化しました. 一日何時間受けたかを判断できない…

位相多様体の次元のwell-defined性

定義1.(位相多様体) 位相空間 $X$ がHausdorff空間で第二可算公理を満たし, 任意の $x\in X$ に対して $x$ の開近傍 $U$, 自然数 $n$, $\mathbb{R}^n$ の開集合 $U'$ および同相写像 $\psi\colon U\to U'$ が存在するとき, $X$ を位相多様体という. 定理2.…

ブルバキ位相の公理

Bourbaki Topologie générale では次のように位相を定義しています. DÉFINITION 1. On appelle structure topologique (ou plus brièvement topologie) sur un ensemble $X$ une structure constituée par la donnée d'un ensemble $\mathcal{O}$ de parties…

中国剰余定理

3世紀から5世紀にかけて成立したと言われている中国の算術書『孫子算経』に ある物を3つずつ数えると2つ余り, 5つずつ数えると3余り, 7つずつ数えると2余るとき, 物の個数はいくらか. という問題があった. 解答は 3で割ると2余る数として140とおく. 5で割る…